年のせいか、めっきり本を読まなくなった昨今。
でも、最低でも、芥川賞と、直木賞と、本屋大賞くらいは、読んどかんとね〜キャンペーンの最後の一冊。
2015年、本屋大賞を授賞した「鹿の王」読み上げました〜!
読みました。ではなく、読み上げました〜!と、
書きたくなるほど、長かった。。。
上・下巻あわせてページ数、1128ページ!!
ページ数のことばっかりいって、申し訳ないですが、
最近読んだ本のページ数が
●芥川賞「火花」152P
●芥川賞「スクラップ・アンド・ビルド」128P
●直木賞「流」408P
この3冊足しても、688ページですからね。。。
本屋大賞は、やはり書店の売り上げに貢献してもらいたいという思いもあるでしょうから、上・下巻にわかれた長編が多いですね〜。
おかげさまで、億劫がってなかなか手が出ない長編大作を一気に読まさせていただきました。
しかも、今回はファンタジー。
こういうきっかけでもないと、長編ファンタジーを自分で選ぶ事など100%ありません。。
なぜならば、私は、ファンタジー作品というものが、とても苦手なのです。
ファンタジーと言いますと、空想というか幻想の世界ですから、舞台は、ほぼ架空の場所や時間です。
もう、それがダメです。。
この話はいったい、いつの話なのか、どこの話なのか
それがわからないまま、話が進んでいく事が、落ちつかないのです。。
なかなか話に入り込めません。
ですから、あの世界的に大人気の「ハリーポッターシリーズ」ですら、小説も映画も見た事がないくらいなのです。。。
その割には、NHKの「ワンス・アポン・ア・タイム」には、はまっていますが。。。
反対に、実際にあった事や、実際に存在していた人の話には興味津々。
そういう物語を読みながら、地図や年表を広げるのが大好きなのです。
今回も、架空の国とわかっていても、
つい「地図見てみよう!…あ、ないんだ…」
とか「これって何時代??…あ、わからないんだ…」
と、何度ガッカリした事でしょうか。。
まあ、それにしても、このお話は、架空の国や部族がたくさん出てきて、登場人物もとても多くて、いろんな立場の人や、慣習とか、食べ物とかもいろいろで、しかも、犬やオオカミや鹿など、生き物もたくさん出てきて、それらが重要なファクターにもなっており、さらには、現実には存在しないような物や言葉や生き物もいて、そういうものが出てくるたびに、これって架空のもの?それとも、現実にあるもの???
と、とにかく頭の中が????です。
それでもネット上で(読者の方が作ったであろうと思われる)登場人物の相関図や、舞台となる国や地名を推測したマップなどを探し出し、それらを参考に、途中リタイヤしそうになりながらも、なんとか、読み上げました!!
というと、この作品が面白くなかったかのように、
思われるかもしれませんが、これが相当面白かったのです!
最後なんか、もう久しぶりに読書で号泣しました。
この主人公の心中を思うと、胸やら胃が痛くなってきます。
登場人物も、魅力的な人ばかりでした。
愛にあふれた作品でした。
この作品を書かれた作家の上橋菜穂子さんは、すごい愛のある人だなあ〜〜と思いました。
そして、それ以上に、これだけの長編ファンタジーを頭の中で創り上げるその構想力に圧倒されます。
また、この作品は、医療ファンタジーと呼ばれるジャンルのようですが、医学や植物学、動物学に関する専門的な知識が無いと、とても書けないような内容で、それらを事前に調査し、学ばれ、ご自分のものにされ、さらに物語の中に編み込んでいくという、想像を絶するような膨大かつ複雑なワークをやりとげられた、その優れた知性と繊細で緻密な職人的技術力に感服。
何より、上橋菜穂子さんは既に50代という事で(私より4才お若い)既にバリバリにお若いわけではありません。
一般的に、年齢を重ねると、やはり気力や体力は弱まってきます。簡単にいいますと、いろんな事がめんどくさくなってきます。
しかしながら、しかしながら、上橋菜穂子さんは、3年間を費やしてこの大作を書き上げられました!!
これだけの長編を、読むだけでも大仕事のこの長編を、書き上げてしまったその持続力、胆力、根気、根性、貫き通す力、やり遂げる力に、脱帽です。。。。
この作品を読んで感動すると同時に、なんもかんも年のせい?にする自分が不甲斐なく、情けなく・・・。
さて、感想をひとことでまとめると…。
帯書きにある養老孟司先生のコメントとまったく一緒です!!
(ずうずうしいですが)
冒険小説を読んでいるうちに、
医学を勉強し、
さらに社会を学ぶ。
(赤帯の2番目です)
しかしながら、私のような医学にまったく知識の無い人間ならともかく、養老先生のような、医学・生物学・脳科学・解剖学のプロフェッショナルでいらっしゃる方が、こういったコメントをされるのですから、専門的な見地からも、相当しっかりとしたなものだったのでしょう!!
上橋菜穂子さんが、専門外の医学や生物学の勉強を、どれだけ、きっちりとされたかが伺えます。
いやはやまったく頭が下がります。。。。
あと、ファンタジーというものを久々に読んでみて、これは頭の体操?になるなと思いました。
小説を読むときは、たいてい映像をイメージすると思いますが、ファンタジーの場合、見た事も聞いた事も無い状況や、人や物や事が登場するので、ふだんの読書以上に、イメージを膨らませなければならず、想像力を駆使せざるをえなく、脳が鍛えられる感じがしました。脳のコリが、ほぐれた感じです。
また、ファンタジーだからこそ、作者の伝えたい事、テーマ、世界観が、ストレートに大きく響いてきました。
自分なりに、ファンタジーの素晴らしさを学ぶ事ができた読書でありました。
勉強になりました!
そして、長編はムリですが、短いファンタジーを近々に書いてみようと思いました。